乳児期の面会交流

幼児期の面会交流(3歳から6歳)

服部弁護士と藤崎十斗くんとのパースペクティブ

 

藤崎十斗:3歳から6歳って誰からみても可愛いから、血縁上の親だったら絶対会いたいだろうね。

服部弁護士:この時期は、「導入期抵抗型」と「再開期待型」の2つがあります。

藤崎十斗:導入期抵抗型は、まあ分かるよ、こどもだしママから離れるのも不安だしさ。別にパパと会わなくてもいいかな、って。会わないといけないって決まって遊んでみたらママとは違う切り口で楽しかったってことだよね。

服部弁護士:十斗は母親離れが早くて、仕事の長期不在も別にパパがいるからいーよ、って感じだったらしいしなあ。まだ、分離不安が残っているから抵抗を示すこどもがいるんだよ。パパとの安全や安心感を感じられると1時間くらいで打ち解けられるケースも多いね。

藤崎十斗:再開期待型は、会いたくて会いたくて仕方なかったってことだね。会えてよかったねという感じだね。

服部弁護士:試行的面会でも、「あーやっとパパに会えた」と漏らした子がいたね。父子関係が良好だったんだろうね。導入期は困難がともなっても、うそのように順風満帆にいくケースが幼児期後期なので、なるべく面会の適時として、パパさんは仕事をセーブしてもこどもに会う時間を絶対に作りましょう。

藤崎十斗:なんか3歳から6歳って、「超ハッピー」って感じで終わりって印象だけど違うの?

服部弁護士:やっぱり父母間に葛藤が残っている場合、特に法的、経済的、情緒的に未解決の問題が残っている場合、こどもは、監護親の心理的負担に巻き込まれてしまい、面会が中止になってしまうこともあるようだね。

藤崎十斗:最高裁が別居中の面会交流を認めたから離婚中の面会交流って、ある意味では、一方で離婚原因を争って、他方で面会交流で仲良くしましょうってことだもんね。極めて不合理だね。欧米では、破綻主義だから、まあフランスは例外あるけどね、でも離婚慰謝料の制度もないし、無駄に葛藤を高めることもしないよ。

服部弁護士:別居中もそうなんだけど離婚後はママさんは実家に帰ることも多い。だから実家の祖父母の意向に左右されることも多いんだよ。経済的に祖父母に依存している場合、「会わせるな」といわれたら、会わせなくなる。実際は、同居親方、特に祖父母が壊した面会交流がいくつもあるね。あと姉とかね。それだけ祖父母の意向と参謀としての力が強いんですね。祖父母が当事者化している例もありました。

藤崎十斗:あとさあ、まあ、僕くらいになると(笑)、ペルソナをかぶって、どちらにもいいように、いろいろ買ってもらうけど(爆笑)、こどもって嘘もつけないし、あったことをありのままに伝えてしまうよね。ドメスチックな話は家庭内でしかできないしなあ。僕は、学校であったむかついたこととか、悩んでいることとか、基本、パパに伝えちゃいますね。でも面会の話はねえ、パパもあんまり喜ばない雰囲気だし、家庭内で話す機会があんまないんだよね。でも、まあパパが「義務だから」ってドイツ人みたいなこというから。まあ学校でママの話になったとき、会話に入っていけるってのはあるけど。3歳から6歳だったら、ストレートに伝えちゃうからトラブル多いだろうね。でも保育園いっているから分離不安もないか。

服部弁護士:この時期のこどもは母親の代弁者だったり、十斗みたいに(笑)、父母で態度を使い分ける子もいるね。

藤崎十斗:でも言い方は難しいんだよ。例えば、本気じゃないけど、おもちゃが欲しいからさ、「パパがケチだから買ってくれない」というとするでしょ。そうなると、ママが、「まあパパ、ケチなの!」といってきまづくなることもあるからね。調子に乗らないようにしてます・・・。

服部弁護士:あはは、シチューが生煮えだったとママに話したやろ。

藤崎十斗:きっとあわててて、煮込む時間がなかったんだよ、とフォローしておきました。

服部弁護士:両親の気を使って、忠誠葛藤があるこどもにとっては、その場その場での本音です。よく面会の後、夜尿をしたりすることもありますが、それと断絶を望んでいるかは別です。両親は、親にはいえないこのようなこどもの「声なき声」に耳を傾ける必要があります。

藤崎十斗:そうだね、僕は、「今でも抵抗型」なんです。ママと会うのは、2か月に1回くらいだから、「何はなそっかな」みたいな。昔は興奮したりして、恥ずかしい話ですが疲れたり夜尿をしたこともあります。でもそれと絶縁を望むかというと、そうでもないんだよね、みたいな。心と体は裏腹みたいな。

服部弁護士:(十斗は、まあ、ママが出て行った系なわけですが、)当然紛争をこどもはみていたと思うのだけど、学童期のこどもと比べると、その期間が短く面会交流における良い経験によって、良い親像に塗り替えることができやすいんです。だから新しく形成された記憶は、幼児期後期が海馬の発達期にもあたるので、生涯のイメージにしやすいんだよね。

藤崎十斗:だからいろいろあっても、前とは違うし反省もしてるよ、とか伝えてもらえると受け入れられやすいかな。

服部弁護士:こどもはリジリエンス(困難を乗り越える力)があるので、予測可能性が減ると不安になります。また、離婚がこどものせいではないことや親としての至らなさを詫びて、事実をできるだけ正直に伝えること、別居や離婚後の生活環境、面会ができることなどを伝えることが大事ですね。そうすることでこどもの親への信頼感が損なわれないことになります。

藤崎十斗:まあ何となく分かってますけどね。僕は家で離婚協議してたから聞いていたので説明はいらないといいました。あと、仮にママと生活する場合、異性の親だとトイレとか銭湯とか大変だよね。他方、面会交流親の場合は、こどもの体調を崩さないように、体調などに対する観察力、対応力、父母間との連携などが課題だよね。

服部弁護士:以前、父親が海に連れていき、異性と遊んでいる間、幼児を日照で大やけどをさせたというケースがありました。面会交流権をこわだかに主張し実施する割には、こどもに対する配慮、観察がなく、結果、大けがをさせたということで、監護親の不興を買ったという話もありましたね。まあ父性の発達がなく、自覚も足らなかったのでしょうけど。