面会交流の「引き出し」

日常生活に組み込まれた面会交流等①

面会交流は様々なシチュエーションがあるのですが、どのシチュエーションで行うのかはあまり裁判所では話し合われないような気がします。具体的には、日常生活に組み込まれた面会交流、こどもの成長が実感できる面会交流、こどもの興味に沿った面会交流、メリット中心の面会交流、直面しない面会交流の5つがあります。発達の程度や緊張関係の度合いに応じてシチュエーションを使い分けることになります。

 

〇日常生活に組み込まれた面会交流

辻崎十斗:諸外国では、ペアレンティングは生活の一部だから、サンタのように遊びにいったりはしないかな。バカンスに同行することはあるけど、それも日常の一つだもんね。

服部弁護士:年齢が高くなるほど、レクレーション型の面会交流は困難になります。日常生活ということになると、別居親の家で過ごすということになります。事務所で扱っている事件でも、主に別居親の自宅で過ごすことが中心という子もいます。少し違うかもしれませんが、うちは毎週土曜日に祖父母の家に行く習慣がありましたが、特にレクレーションがあるわけでもなく、普通に祖父母と交流できる、なつかしさが味わえるといったことになるのかもしれません。

辻崎十斗:うん、わかるね。まず、僕も、葛藤があるとはいえ、面会ということになると、ママがどのような生活を現在しているか、関心があります。

服部弁護士:それから、僕の場合、母親の生家なわけだよね。それと同じく、同居親とこどもが別居していて、別居親がもとの家に住んでいる場合、別居親での面会交流が有効です。というのも、こどもにとって別居親の家は「懐かしい我が家」でもあるからです。

辻崎十斗:まだ自分の部屋にベッドやおもちゃがあったりするんだよね。近所のコンビニとか公園とか、親が離婚して離れちゃったけど、懐かしい場所でノスタルジックを感じられると思います。

服部弁護士:いわゆるサンタ型の場合は外出がともなうのですが、最近はこどももいそがしく面会はゆっくり過ごしたいという子も増えています。例えば、ゲームをするということも一つですよね。また、体力のない低年齢児は疲れてしまいます。別居親宅での面会交流であれば、その日のこどもの体調や天候に応じて、自宅で遊んだり公園で遊んだりすることができます。疲れていれば昼寝もできますし、みたいテレビがあればみせてあげることもできますし、トイレやオムツを変える環境もあります。

辻崎十斗:費用もかからないよね。僕らはパパやママにお金をかけて欲しいと願っているわけではないから、おいしい食材で、ママと一緒に住んでいるときは食事の手伝いなんてできないけど、ここでは食事の手伝いをしたりしてさ。一緒に料理したり、みんなで僕のお気に入りのユーチューブをみてもうの。ちょっとしたおみやげをもらえるのも、うれしいな。

〇平日の面会交流

辻崎十斗:最近、東京高裁でも、カナダ法を準拠法として、平日の姿を親子が見合うことが子の最善の福祉に沿うという判決が出たよね。平日の夕飯の面会交流なんてあり得るのかな。

服部弁護士:女性の別居親はしやすいだろうし、男性親でも絶対残業しませんというのは、特定の日に限っては有効だよ。平日の面会交流は、だいたいこどもは18時までには帰宅しているから、他の活動に制限されることなく、「夕食を一緒に食べる」ということを通じて面会交流をすることができます。

辻崎十斗:僕はパパと暮らしていますが、パパはね、僕が面会に行くと心情としては落ち込んでるの。だから、普段は働いていて、学校の送迎をしてくれているのだから、僕がママと会っているときくらいは、呑み屋で遊んできなよ、といっていますね。

服部弁護士:意見が分かれるのが習い事の送迎です。男性親からすると、習い事の送迎は、「アッシー」として使われているだけで、到着したら面会が終わってしまうような場合、不満がたまりやすく、かつてこのような面会交流も経験したことがありました。やはり男性親の評判は芳しくないですね。

辻崎十斗:うーん、こどもに気を遣わせないで欲しいけど、ちょっと一緒にティーブレイクしたり、ビストロにいけるくらいのちょっとした交流があればいいよね。

服部弁護士:光があれば影もあるもので、習い事の便乗は実はメリットも多いんです。習い事の送迎については、日にちが決まっているし体調が悪いから習い事を休ませるということもあまりありません。また、他の友人との約束に優先されることもありません。

だから、エフピックも音を上げてしまった日程調整ですが、もめごとの種であるドタキャンの問題が生じにくいというメリットがあります。同居親と離婚直後の場合はちょっとのことでキャンセルをしてきますので、習い事の送迎を織り込んでおけば簡単にはキャンセルされないというメリットがあります。

辻崎十斗:うーん、僕はパパには学校のことを何でも話すしアドバイスをもらうけど、ママにはそうではありません。習い事の送り迎えとか、習い事をみてくれていれば、「今日の相手のチーム、強かったね」とかさ、「今日のスマッシュ、すごかった」とかいってくれそうで、会話が持ちそうだよね。

〇こどもの成長を実感できる面会交流

運動会、音楽会、授業参観という学校行事に参加することで、こどもの学校での頑張りを親は知ることができます。

辻崎十斗:うーん、フランスでは離婚はめずらしくないので、別に、ママが学校の行事に来てくれるのは構わないけど、パパが嫌がるだろうなあ。あと、父母が一緒になるから喧嘩しないといいけどとか余計な心配で演劇のセリフ忘れちゃったりするような。

服部弁護士:ロミオ&ジュリエットだっけ。

辻崎十斗:へへ。僕は嫌だっていったんだけどね。みんな勉強にいそがしそうだから、じゃあ俺やるよ、みたいな。練習は土日もあったし、平日もパパ相手にセリフの練習したし大変だったよ。

服部弁護士:うん、学校の行事でこどもがいそがしい場合でも、それを面会交流の一環にしてしまえば、わざわざ日程調整とか、こどもの予定を空けておく必要はありません。最近のこどもはいそがしいので、こどもの時間を特別につくらなくてもよいというのは日程調整が楽になります。また、男性親が別居親の場合、スポーツを教えてくれるというメリットもあります。十斗がテニスをママから教えてもらっているようにね。休日の公園やグラウンドで、お父さんとこどもがサッカーの練習につきあっているという風景をみたことがあると思います。こうしたからだを動かす経験は、言葉では伝わらない一体感がみつかります。

ここまでは、面会交流が何も特別なことばかりしなくてもいいんだ、ということを中心に紹介をしました。

(愛知県弁護士会 弁護士 服部弁護士)